#0 旅と生活
2022.12.4. from Hanoi, Vietnam
慣れ親しんだ土地に住んでいても、見知らぬ土地を歩いていても、服を着て、食べ、眠る。長く旅をする者にとって、旅は家から帰るまでの途上でありながら、日々は生活でもある。
ここでは、生活の三本柱すなわち衣・食・住、その3つの観点から、私の旅を一部記録し、定期配信していくことにする。
始めるにあたって、旅と記録、そしてリアルタイムで発信することについて記しておきたい。
2022年の今に旅する、記録する、発すること
私はいま、ユーラシア大陸を旅している。旅そのものの在り方について、10年前のそれと大きく異なる部分は、インターネット及びスマホの普及が最たるものだと思う。これまでインドからスタートして南アジアから東南アジアまで進んできたけれども、どんな田舎でも子供ですらスマホを手にしているのを見てきた。そして私自身も、これまでの旅の間、TwitterやInstagramで旅の記録を発信したり、Lineで家族や友人と連絡を取ったりしてきたし、ネットの普及によってそれはほとんどどこでも、いつでも可能だった。
かつて旅はもっと孤独であっただろう。何を見ても発見しても、その瞬間の衝撃や感情を誰と共有するでもなく、ひたすら自分自身のみの中にぽたぽたと滴り落ち、ひたすらに溜まってゆく、そんなものであったのではないかと想像する。
そんな旅がしたかったら、スマホを置いていけば良いだけの事かもしれない。でも私は、大ネット時代に旅をする者として、ネットありきの旅を否定しない方が自然だし、今の時代らしい旅をしてみようと思っている。リアルタイムの記録と発信はその一つにあたる。
一方で、旅で見たことの全てを、短い期間のうちに纏めて網羅するような記録・発信の仕方には注意深くありたい。後から自分自身が見返した時に、旅の記憶を、書き残したことだけに限定して自分で改竄してしまうのを恐れているからだ。他者へ伝えることなく自分の身の内に溜まらせておく記憶を残しておきたいし、自分の内に残っているものと外に出したものについて、意識的でありたい。
そんなわけで、定期配信で旅の記録を発信するにあたって、「衣食住」というテーマに絞ることで、あくまで旅の一部分を切り取る、という意識で書くことに決めた。
これを読んでくれている優しいあなたへは異国からのささやかな便りに、私自身にとってはいずれ旅を思い返す時の糸口に、そんな記録にしていければ良いなと思っています。



